ヴィンテージ家具のメンテナンスについて思うこと
ハリーズアンティークマーケットがオープンしてから、おかげさまで10年目に突入しています。
2度の移転を経て、現在3ヶ所目での営業となります。
今年の7月で丸10年となるので、「何かできれば…」と考えてはいますが、
家具屋の10周年に。
お客様に喜んでいただける様なことを。
もうそろそろ決めなければ。
機会を改めてご案内できれば。。と思います。
さて、これまで約10年の間に店頭、オンラインを含め様々な商品を販売してきましたが、とても、とてもありがたいことに、ご購入されてからすぐに返品をご希望されるような大きなクレームはまだいただいておりません。
これは弊社メンテナンス班の力によるところが大きいと考えます。
また、ヴィンテージ家具の持つ雰囲気や、ちょっとした”あら”に寛容で、ご理解をいただける良いお客様に恵まれている事にも感謝しなければなりません。
アンティークやヴィンテージの家具に対するイメージの中で、まぁまぁ耳にするのが「古いので壊れやすいのでは?」という声です。
その通りだと思います。
ハリーズでは古いものならば作られてから80年近く経過している家具を扱っています。(本店のギャラリー陶夢ではもっともっと旧いものを扱っています。)
長い間、普通に使われてきたり、倉庫のような場所で眠っていた家具もあると思います。なので、適切なリペアやメンテナンスを加えなければ壊れやすくて当たり前なんです。デッドストックでもない限りは。
ところがこの適切なリペアやメンテナンスがなされていないヴィンテージ家具等を購入された方が、「買ってすぐに壊れた。」といった悲惨な目に遭われているのだと思います。
最近よく、他店で購入した家具のリペアは可能か?といったお問い合わせをいただきます。
まずお答えするのが、ご購入されたお店にリペアをお願いされた方が良いです。といった内容です。
これはイジワルでもなんでもなく、販売したお店がその家具の事を一番よく知っている。と考えるからです。
たとえそのお店が遠方であったとしても、購入店に頼むのが良いでしょう。
(それに、自分だけかもしれませんがウチでご購入いただいた家具が他店で修復される事を知ったら、嫌とは言いませんがモヤモヤすると思います)
ところが、「もちろん頼んだけど『出来ない』と言われた」と仰る方が結構いらっしゃいます。
なぜ?としか思いません。
自社で出来ないなら外注でリペアをしている工房などに頼めばいいのに。と。その家具屋さんに思ってしまいます。
例え話で恐縮ですが、古いクラシックカーの販売店が、ご購入後のメンテナンス・リペアは出来ません。と言ったら誰がそこで買うのでしょうか。
自身でメンテナンスやリペアの”つて”を持っているような方しか買わないでしょう。
そして、そんな方は販売店を通さず自分でオークションなんかで買っちゃいます。リスクを承知の上で買われるのです。
買っていただいた後の商品のメンテナンスが出来ない・しないヴィンテージ家具店は、きっと仕入れた家具のメンテナンスもそこそこに販売しているのかな?と思ってしまいます。これはとても恐ろしい事です。怪我や事故に直結しますから。
同じ商品ならば少しでも安い所で買いたい。とてもよく分かります。自分でもそうです。
しかし、古い物に関してこれは少々当てはまりません。
同じに見えて全然違う場合があるからです。
適切なメンテナンスがなされたヴィンテージ家具には修復職人の手が入っています。
高いものには理由があるように、安くてラッキーにはそれなりの理由があります。
よほどご自身の目に自信があられる方以外は、メンテナンスやリペアに関してもご購入の際のキーポイントとして心に留め置かれる事をお勧めいたします。
ハリーズはギャラリー陶夢の姉妹店として10年前にオープンしましたが、母体のギャラリー陶夢有限会社はアンティーク家具を扱って40年近く経っています。アンティークギャラリーとして老舗の部類に入る創業年数です。
その間にメンテナンススタッフに買い付けに同行してもらい、イギリスやデンマークの修復工房での研修を受けたり、メンテナンスに関するレベルアップにも力を注いできました。
・綺麗に見えて、中身(構造)も綺麗
・自分で実際にこれを買うならどこまでやれば納得できるか
・ヴィンテージの風合いを残したフルメンテナンス
・オリジナルの意匠は可能な限り壊さない
・時を経た美しさを残しつつ、これからの経年美化も更に楽しんでいただける
・古い家具の実用に十分な機能と耐久性を持たせる
よくメンテナンスの仕上がり指標として出す例えが、
“履き込まれているが、丁寧にメンテナンスされた年季の入った革靴”です。
イギリス王室のある方が履かれている革靴をご存知でしょうか。40年履き込まれたその靴は補修用のパッチが施されていますが美しい輝きを放っています。
適切なメンテナンスがなされたヴィンテージ品は常識の範疇の使用方法であれば簡単には壊れません。
現代の家具に比べ少々気づかいが必要なケースもありますが、そもそも50、60年以上の使用に耐え、現代に美しい姿を残している製品です。
また、もし壊れても修理できる場合がほとんどです。
弊社ではコンディションの良い家具を選んで買い付けますが、店頭にお出しする家具は全てチェックし、必ずメンテナンス、クリーニングを施します。
安心してヴィンテージ品を使っていただきたい。
おこがましいことを申し上げれば、アンティーク・ヴィンテージ家具の”すぐに壊れる”というイメージを払拭したいと考えています。
ゆくゆくはリペア・メンテナンス専門業を立ち上げ、他社さまご購入の品物や出来る限りのあらゆる家具の修復をお受けしたいと考えております。他店さま買い付け品の外注リペア・メンテナンスにも対応できれば。と考えております。
下記は以前投稿したメンテナンスについてのブログ記事です。
https://harrysantique.jp/2019/10/08/アンティーク家具の修復について・塗装編/
ご興味のあられる方はご覧になられてみてください。